誰かの雑記帳

好きなものの話をします。

また本を読んだ

8月に入り本を読む時間が取れるようになったのもあって、そこそこに本を読んでいる。
とは言っても、まだそんなに読めているわけではないが。
まあ何はともあれ本が読めているのでこれはいいことである。このままの勢いで9月以降も本が読めたらいいのだけれど。

そんなこんなで今のところ読んで面白かった本を紹介。

『invert 城塚翡翠倒叙集』
前作の『medium』が大傑作だったのでこちらも手に取ったがこれまた面白かった。倒叙ミステリはそこまで好きというわけではないのだけど城塚翡翠という探偵の魅力がこれでもかと詰まった秀作だと思う。城塚翡翠が登場する長編も考えているそうなのでそちらを楽しみに待ちたい。

錬金術師の消失』
錬金術が存在する世界でのファンタジーミステリ。こちらも前作が好みだったので買ったのだが本作ではこの世界でしかなし得ない奇想を見事に成立させていて良かった。次作も楽しみなシリーズの1つである。

『七回死んだ男』
SF新本格の代表作。同じ1日を繰り返す主人公が、祖父を死の運命から救うために奔走するというあらすじが既に魅力的であり、手を替え品を替え二転三転する事件の構図が大変に面白い。その上で炸裂するロジックも小気味よく、パズラーとしてもよくできている。終始コミカルでありながらSF本格ミステリを読ませる手腕に脱帽。

タイム・リープ あしたはきのう』
長らく読みたかったタイムリープがテーマのライトノベル。完璧な設計図と言われるように作中の描写1つ1つが全て繋がっているのが素晴らしく、作者の技術に驚いた。始まりから終わりまで隙のない構成力は見事。

『蒼海館の殺人』
とにかく分厚い。が、分厚さが気にならないくらいの熱量と面白さを持った小説だった。前作で問題提起された「名探偵の在り方」について、やや青臭くもあるが最高の答えを出してくれたと思う。こういう物語には弱い。本格ミステリとして見ても著者らしいやりたいこと全部乗せみたいなトリックやロジックが披露され、非常に満足度の高い1冊になっている。

『夕暮れ密室』
青く痛く青春ミステリ。自分が青春ミステリに求めている若さゆえの感情やゆらぎが描かれており、最後まで良い青春ミステリだった。本作のトリックについてはやや危うさも感じるが、その危うさも含めて青春ミステリなのだと思うとそれすらも愛おしい。この作品をきっかけにミステリにおける必然性について考えることになったのでそういう意味でも読んで良かった。このミステリの必然性についてやあるいは青春ミステリに関する覚書みたいなものはブログの記事にしたいのでもう少し考えてみようと思う。

本は以上だが他にも細田守版『時をかける少女』を観たりクレヨンしんちゃんの映画を観たり『オッドタクシー』を見たりしていた。特に『オッドタクシー』はラストにやや不満こそあるものの群像劇ミステリとして非常にレベルが高い秀作だった。ちょうど群像劇ミステリを探していたところだったのでこのタイミングで見れたのは良かったと思う。

以上、今回はこれで終わることにする。
次は青春ミステリに関する覚書の記事で会えたらいいね。