誰かの雑記帳

好きなものの話をします。

覚書

前回、次回は青春ミステリに関する覚書の記事で会えたらいいね、という話をしたのだけれど、結局書けないまま時が流れてしまった。
私は青春ミステリがミステリのジャンルの中でも一番好きなので、ちゃんと自分の青春ミステリに関する考えみたいなものを文章で残しておきたいのだがこれがなかなか難しい。青春ミステリが好きだという気持ちはあるのだけれど、青春ミステリのどこが好きなのかとか何をもって青春ミステリとするのかみたいな話をしようとすると言語化に難儀するのだ。個々の作品を指してこの作品が好きだと述べることはできるが、それだけでは覚書とするには不十分な気もするので、やはり一度はちゃんと青春ミステリについて考えてみる必要がありそうである。

話は変わるが、9月は全然本が読めなかった。もはやこのブログでは恒例の台詞となっていそうだが、読めなかったものは読めなかったのだ。そのせいで今回の記事が遅れたとも言える。年末まで残された月日も少ないが、今年も年内に読みたい本のリストを作ったので、気合を入れて読んでいきたいと思う所存である。

そんななか読んだ数少ない本が、『ミモザの告白』と『あたらしいサハリンの静止点』、『密室は御手の中』なのだが、これらがどれもよかった。
ミモザの告白』は社会的な問題を扱いつつも重くなりすぎないというか、あくまで等身大の登場人物たちの感情が描かれていて、変化していく日常に注目しているのがよかった。
『あたらしいサハリンの静止点』はもうすばらしいアンソロジーであると言うほかなく、中でも「回転する動物の静止点」や「電話鳥〈i,PhoneX〉」で見せられたSFのガジェットを用いながらラストで叙情的なシーンを演出するというのがたまらなく好き。その他の作品も秀作揃いで、このアンソロジーが同人出版された作品だというのが驚きであった。ぜひとも広く読まれてほしい作品である。
『密室は御手の中』は今の時代にこれだけオーソドックスな本格ミステリを書いてやろうという気概が感じられて嬉しくなるようなミステリで、用意された密室の謎のそれぞれに対してぬけぬけとしたトリックが使われており、読んでいて楽しくなった。本作がデビュー作ということで、作者の次回作も期待したいと思う。

『あたらしいサハリンの静止点』と『密室は御手の中』に関しては個人的に思うところがあり自分に気合を入れたくて読んだのだが、想像よりも凄いものを叩きつけられてしまい、自分がどうすればいいのか分からなくなってしまった。それでも、一歩ずつやっていくしかないんだよなあ、と思いながら今日も何もしないまま時は過ぎていくのであった。

ではまた、次回こそ青春ミステリの話ができたらいいね。