誰かの雑記帳

好きなものの話をします。

好きなミステリ小説10選

前の記事で好きなものの話をすると言ったので、早速好きなものの話をしようと思う。
私の好きなものといえば、ミステリ小説である。知らない人からしたらなんのこっちゃ、という感じだろうが、とにかく私はミステリ小説が好きだ。古今東西、和洋を問わずとはいかないしむしろ私の読書量なんて些細なものだが、それでもまあ好きだと言えるぐらいには読んでいるわけで。
なので今回は、その中でも特に好きなミステリ小説を10冊選んで紹介したい。

最初に選んだ10冊を挙げておくと、

タイトル/著者名

儚い羊たちの祝宴米澤穂信
名探偵に薔薇を/城平京
青の炎/貴志祐介
ハサミ男殊能将之
慟哭/貫井徳郎
容疑者Xの献身東野圭吾
叫びと祈り/梓崎優
ぐるりよざ殺人事件/古野まほろ
螢/麻耶雄嵩
希望が死んだ夜に/天祢涼

の10冊である。

それではこれから1冊ずつ簡単に紹介していく。

1.儚い羊たちの祝宴米澤穂信
個人オールタイムベストの1冊。物語の「面白さ」、ミステリとしての「上手さ」、そして「好き」かどうか、私はミステリを評価するときはこの3つの評価ポイントで評価しているがそのすべてにおいてこの作品が一番優れていると思う。連作短編としての構成や計算しつくされたラスト1行の衝撃など、優れた点はいくらでも挙げられる。本書は物語としても大変面白いので、ミステリ小説は普段読まないという人にも胸を張って薦められる本である。

2.名探偵に薔薇を/城平京
名探偵の宿命をテーマにした作品は数あれど、本書ほど切実にそれを描ききった作品はそうないだろう。物語のラスト、名探偵の発する独白には思わず天を仰がずにはいられない。まさしく「名探偵に薔薇を」と言いたくなるような作品である。

3.青の炎/貴志祐介
私は青春ミステリが好きだ。中でも若さゆえの優越感や全能感といった感情が好きだ。そして、本作にはそれらのすべてが詰まっている。本作は倒叙ミステリと呼ばれる犯人の視点でストーリーが進行する形式のミステリ小説であり、主人公の少年の胸に燃える青の炎の輝きが読者を引き付けずにはいられない、そんな小説だと思う。

4.ハサミ男殊能将之
「初心者におすすめのミステリ小説を教えて」と言われたら「十角館の殺人」と迷ったうえでこっちを薦めると思う。読みやすい文章、引き込まれるストーリー、驚きのトリックと、ミステリ初心者が楽しめる要素がてんこ盛りだ。そしてもちろん、中級者以上が読んでも十二分に楽しめること間違いなしの素晴らしいミステリである。未読であればぜひ読んでもらいたい。

5.慟哭/貫井徳郎
「名探偵に薔薇を」といい「青の炎」といいタイトルが物語の内容とリンクしている小説が好きなのだが、この作品もラストまで読めば慟哭せざるを得なくなると思う。こちらも優れたトリックが使われているため、初心者におすすめしたい1冊だ。

6.容疑者Xの献身東野圭吾
言わずと知れた名作である。福山雅治主演の映画版も良かったが、原作もそれに負けず劣らず素晴らしい。流石に当時のミステリランキングを総なめにしただけのことはある。ちなみに私はこの作品は本格ミステリだと思っている。

7.叫びと祈り/梓崎優
今私が個人的に最も新刊を心待ちにしている作家が梓崎優だ。そのデビュー作である本作は海外を舞台にして異文化に対する理解と断絶を描いた連作短篇集の秀作である。しかし梓崎優はアンソロジーに収録されている「スプリング・ハズ・カム」がべらぼうに良かったので、それが収録された短編集が出版されたなら、この「叫びと祈り」と入れ替えると思う。早く出版されてくれ。

8.ぐるりよざ殺人事件/古野まほろ
古野まほろといえばその個性的な文章で有名な作家だが、同時に端正な本格ミステリを書く作家でもある。本作はシリーズの2作目であるが、世界設定の説明を1作目で終わらせているためかより純度の高い事件と解決が描かれている。解決編で披露される華麗なロジックには誰もが圧倒されるだろう。読まず嫌いはもったいない作品である。

9.螢/麻耶雄嵩
夏の洋館、大学生サークルの合宿、クローズド・サークルときたらまさにミステリの王道であるが、決して王道のまま終わらせないのが麻耶雄嵩という作家である。本作でも作者らしさ溢れるトリックが炸裂しており、読者をしっかり驚かせてくれる。「神様ゲーム」と並んで、作者の作品を初めて読む人におすすめしたい。

10.希望が死んだ夜に/天祢涼
ここまでの9冊はどちらかといえば王道の、有名作を紹介してきたが、本作はそうではない。有名ではないが、その面白さは他作品と比べても劣らない。子どもの貧困という社会問題を扱いながら、少女と少女の関係性を描いた青春ミステリとしても優れているのだ。本作は社会派青春ミステリの傑作なのでぜひ読んでもらいたい。


意図的に作品の内容にはあまり触れないようにしたので、どのような作品なのかは実際に読んで確かめてもらいたいと思う。
どの作品も自信を持っておすすめできる作品なので、読んで損をすることはないだろう。これらの作品を読んで、そこから他のミステリにも興味を持ってもらえれば嬉しい。

以上、好きなミステリ小説10選でした。